こんにちは、院長の駒井です。

今回は基礎シリーズー歯の構造のつづき、「歯根」についてです。

 

まずは下の図をご覧ください。

こちらはライオン歯科衛生研究所のサイトからの引用です。

いつもお世話になっております。

 

 

 

歯根

歯根も歯冠と同様の3層構造です。エナメル質がなくその代わりに外側からセメント質、象牙質、歯髄の並びです。

セメント質(図の水色の部分)は象牙質よりすこしやわらかく、骨と同じくらいの硬さです。

歯根は部位により数が異なります。標準の根の数が1つのものから3つのものまであります。奥の歯ほど噛む力が大きくかかります。このため、奥歯ほど根の数が多くなります。そのため、奥歯は2ないし3本の根があります。

 

歯根の中も、歯冠と同様に歯髄が入るための空洞があります。ここを根管(こんかん)といいます。1つの歯根に1つの根管が基本的な構造です。

 

〜歯周病と分岐部とセメント質〜

歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまった細菌による炎症で、病気が進むと歯根の周りの歯槽骨が溶けていきます。骨がなくなると細菌はさらに奥へと入り込んでいきます。すると歯根にもプラークや歯石が付着するようになります。

 

根が複数あると根の股わかれがあります。専門的には「分岐部(ぶんきぶ)」と呼びます。

分岐部に歯周病が進行すると厄介です。歯石を取ろうにも、奥まった部分に器械の先端が届かず取りきれないことがあります。セルフケアにしても分岐部を掃除するにはテクニックが必要で難しいです。なので、根全体の骨がある程度残っていても、分岐部に歯周病が進行していると重度の歯周病として扱う場合もあるのです。

 

もう一つ、セメント質について。歯冠のエナメル質はガラスのように表面がツルツルした状態です。しかし、歯根表面にあるセメント質は凸凹、ざらざらしています。そのようなところに歯周病菌が侵入してくると、プラークがたまりやすく、より一層歯周病が進行しやすくなってしまいます。

 

 

〜根管治療と根管数〜

虫歯が大きくなって神経を取る、または神経を取った後の歯根が感染を起こしたときに行う根の掃除・消毒の処置、それが根管治療。根管の中を器具を使って機械的に汚れを取り除き、薬で隅々まで消毒を行う治療です。

 

歯根の数は部位により標準の数が決まっています。しかし、バリエーションがあり、同じ部位の歯でも人によって大きく違います。標準は3根だけど、この人は4根なんてこともあります。

 

根管も同様です。標準は1つの根に1本の根管です。しかし、これもバリエーションで1根で2根管というパターンもあります。

根管治療をする場合、根管数を見極めることが大事なのです。

 

〜歯の生え替わりと根の完成〜

およそ6歳の頃、下の前歯が抜けて代わりの永久歯が生えてきます。生え代わりの始まりです。歯が生えてきた時点では実は歯根は途中までしかできていないのです。歯冠が生えてからおよそ3年かけて歯根は完成します。

 

生え代わりの話のついでに。歯冠も生えたての時、実はまだ未熟な状態です。

形は出来上がっているのですが、エナメル質はまだ成熟しない状態で生えてきます。生えてから唾液にさらされることで、唾液中のミネラルを吸収して少しずつ成熟し硬くなっていきます。これもおよそ3年くらいかかると言われています。未熟な状態のあいだは歯が軟らかく虫歯になりやすいので注意が必要です。