こんにちは、院長の駒井です。

 

いつもブログの購読、ありがとうございます。

記念すべき?基礎シリーズ1つ目のテーマは「歯の構造」です。

 

いろいろ書いていたら内容が山盛りになったので、いくつかに切り分けて記事を出すことにしました。今回は歯の構造、「歯冠」についてです。

 

一般の方でもわかりやすい専門的な話で、むし歯や歯周病など口の中の病気にどう関わるかという視点で書いてみました。読みにくいところあるかもしれませんが、良かったら最後まで読んでみてください。

 

 

 

まずは下の図をご覧ください。

こちらはライオン歯科衛生研究所のサイトからの引用です。

いつもお世話になっております。

 

下の奥歯の断面図です。

 

 

まずは各部の名称の紹介。

 

歯は大きく分けると、歯ぐきから生えている頭の部分、歯冠と、歯ぐきの中で骨に埋まっている部分、歯根になります。

 

歯の周りには歯ぐき(歯肉)があり、その下には骨(歯槽骨:しそうこつ)があります。

 

歯冠と歯根の境目、歯と歯ぐきの境目のあたりを歯頚部(しけいぶ)、歯根の先っちょを根尖(こんせん)と呼びます。

 

根尖には穴があり、骨の中を通ってきた神経や血管がこの穴を通って歯の中に入っています。この穴を根尖孔(こんせんこう)といいます。

 

 

歯冠の役割は食べ物を咬み切ったりすりつぶしたりすることです。食べ物を細かく噛み砕くことを咀嚼といいますが、咀嚼をするためにはかなりの力がかかります。それを支えるのが歯根の役割です。歯根は顎の骨(歯槽骨:しそうこつ)に埋まり歯全体を支えています。

 

歯根は骨に埋まっていますが、2つの間にはすき間があります。ここを歯根膜(しこんまく)と呼びます。

 

昔はすき間に膜のような組織があると考えられていたので、膜という名前が付けられていますが、実際には骨と歯根の間に歯根膜線維というものがあります。これはヒモが張りめぐらされたようになっており、ハンモックのように歯根が骨に吊るされたような構造になっています。これによって、歯にかかる力が歯槽骨に直接伝わらないようにクッションの役割を果たしています。

 

今思いつきましたが、先ほど、歯根が噛む力を支えていると書きましたが、実質的に支えているのは歯根膜ですね。歯根は、歯根膜の表面積を稼ぐためのツールと考える方がしっくりきます。

 

歯根膜には圧力センサーの働きをする神経が存在しています。これのおかげで、食べ物を噛んだ時の硬さ、柔らかさを感じることができます。

 

 

 

〜歯ぎしり食いしばりによる歯の痛み〜

歯根と骨には隙間があります。その隙間の分だけ、噛んだ時に歯は少し沈みます。強すぎる力がかかったり、長時間にわたって力がかかると歯根膜で炎症が起こり、噛んだ時の痛みや違和感が出ることがあります。これが続くと歯が割れて、最悪の場合、抜歯となることもありますので、お悩みの方は早めの受診をお勧めします。

 

 

歯冠

歯冠は3層構造で、外側からエナメル質、象牙質(ぞうげしつ)、歯髄(しずい)になります。

 

一番外側は固くて丈夫なエナメル質。体の中で最も硬い組織です。

その内側は象牙質。図の黄色い部分。エナメル質よりやわらかく、象牙細管という細い管(図の黄色の部分にある黒い線)があり歯髄までつながっています。

 

最も内側は歯髄です。一般的に「歯の神経」と呼ばれているところです。象牙質の内側が空洞になっていて、そこに神経と血管があります。虫歯が進行してしみたりするのはこの神経が刺激を感じるためです。

 

形、大きさは部位により大きく異なります。同じ部位でも個人差もかなりあります。大まかには、前歯は噛み切るための歯で、先がとがっています。奥歯はすり潰すために平たい形をしています。

 

永久歯、通称大人の歯は6歳頃から順次生え始めます。大人になる頃にはそれなりの年数使い込んでいるので、特に奥歯はすり減りが出てきていますが、生えたてのころは特に奥歯は複雑に山と谷が入り組んでいます。身近に小さなお子さんがいらっしゃれば見比べてみるのも面白いと思います。

 

この複雑な形をした溝に食べ物が詰まってしまうので、生えたばかりの頃はむし歯になりやすいのです。

 

 

〜むし歯の症状と歯冠の構造の関連〜

エナメル質には神経がないので、ここでとどまるむし歯は痛みがありません。象牙質まで到達するとしみます。

象牙細管が神経までつながっているので、むし歯が象牙質まで達すると冷たいものや甘いものの刺激、虫歯菌の刺激が神経まで伝わり、しみるとか痛いというのを感じるようになるのです。

 

 

むし歯がさらに大きくなり神経まで達すると、直接刺激を受けるため強い痛みが出ることになります。さらに虫歯が進行すると神経が死に、組織が腐敗して根尖に膿がたまるようになります。この痛みは尋常ではありません。

虫歯の治療は早期発見・早期治療がおすすめです。

 

〜神経がない歯の痛み〜

神経がない歯が噛んで痛くなることがあります。根尖に膿がたまると、周りが硬い骨に囲まれているので、内圧が高まります。そこへ噛む力が加わるとさらに圧がかかるので痛みが発生するのです。

 

というところで、今回はおしましです。最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

いかがでしたでしょうか?

次回、基礎シリーズは「歯根」についてです。

ではでは。